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紅葉も色付き始めた晩秋の頃――
生徒会は文化祭の準備も大詰めを迎えていた。
折原先輩はあれから生徒会に少し顔を出しては、バイトの為にすぐ下校する状態で、ピザのデリバリーや運送業で荷受けの力仕事など、色々なバイトを掛け持ちしているらしい。
土日もバイト詰めの日々を過ごしているので、響さんと会う機会も当分訪れそうにない。
何よりそれだけ根を詰めて働いてるのだから、体調管理がちゃんと出来ているのか心配だ。
生徒会の皆も文化祭実行委員と連結して、各クラスや部活の出し物のチェックや予算会計などで、出払う事が増えた。
特に生徒会会長と副会長の二人はここぞとばかりに、各クラスや部活から引っ張り凧。
会計の田辺さんもチェックに余念がない。ほとんどの出し物に、予算オーバーや無駄を指摘し続け、皆から野次を飛ばされても物怖じひとつしないのは、頼もしい限りだが、そのフォローに回る亮先輩の気苦労は計り知れない。
私と麗子は生徒会に籠って、黙々と通常業務をこなしている。
マリン「これから練習があるから抜けるけど、貴女達二人で大丈夫?」
席を立ち、鞄を肩に掛けた田辺さんは、懸念を抱いた瞳で麗子と私を見下ろす。
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