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ミヤ「二人とも落ち着いて! 田辺さんももう行かないといけないんじゃないの?」
田辺さんは腕時計に視線を落とした後、「貴女は園田さん以上に甘いけどね」と、嫌味を残して立ち去った。
田辺さんの居なくなった生徒会室から、ボフッと鈍い音が響く。
麗子がクッションを力任せに投げ、入れ替わるように入ってきた亮先輩の顔面に直撃したのだ。
レイコ「えぇ! 亮先輩!? ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
麗子が慌てて駆け寄ると、亮先輩はクッションを拾い、苦笑いを浮かべた。
アキラ「大丈夫。随分荒い歓迎だね。生徒会室の外まで声が漏れてたけど、麗子ちゃん達こそ大丈夫?」
亮先輩は拾ったクッションを麗子に渡すと、何事も無かったようにソファに腰掛けた。
麗子は居たたまれなくなり、頭を下げて詫びる。
アキラ「気にしなくていいよ。それよりここ最近、真鈴ちゃんの刺が倍増しちゃってるから、麗子ちゃんや美弥ちゃんにチクチク刺さってるんじゃないかと思ってさ」
亮先輩の言う通り、劇の練習が始まった頃から、日増しに田辺さんは刺々しくなっている。
だが、田辺さんが卑屈になる気持ちも分からなくもない。
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