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「野郎共ー! 亮を捕まえろう!」
クラス中の男子が亮を追い掛ける。
アキラ「バスケで鍛えた脚力なめんなよ」
亮は半ば楽しそうに廊下を全力疾走し、クラスメイトを撒こうと階段を数段飛ばしに下り、勢いよく曲がった所で人とぶつかった。
「キャッ!」
どうやらぶつかった相手は女子生徒のようで、カシャンと何かが落ちる音が鳴った。
アキラ「ごめん! 大丈夫?」
亮は慌てて駆けつけ、吹っ飛んだ女子生徒に手を差し伸べた。
その女子生徒は怒りの籠った瞳でキッと亮を睨み付ける。
アキラ「あれ? ひょっとして真鈴ちゃん?」
亮の間の抜けた声に、真鈴は怒りを益々露にした。
マリン「その声は……貴方という人は……いつもいつも……ほんとに……」
青筋を立てた真鈴は、差し伸べられた亮の手を思い切り叩き、眼鏡を探した。
マリン「眼鏡はどこですか? ないとボヤけて見えませんから、早く探して下さい!」
真鈴は手探りで辺りの廊下を調べる。
真鈴の傍をだいぶ離れた所に、無惨にもフレームがひしゃげ、レンズが片方取れた眼鏡が転がっていた。
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