文化祭

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  亮の真面目な表情はボヤけて見えないけど、亮の言葉で伝わってくる。   マリン「……分かりました。右から三番目の前から二番目の席の鞄を取って下さい。そこにコンタクトが入ってますから」   亮はすぐさま真鈴の机まで行き、鞄を取り、真鈴に手渡す。   真鈴はコンタクトを付けると、ようやく視界がハッキリとしてきた。   改めて亮を見ると、額には汗をかき、暑そうに手でパタパタと扇いでいる。   マリン「何故あんなに慌てて廊下を走っていたのですか? それに何故あんなに追い掛けられていたのですか?」   真鈴は冷静に質問を投げ掛ける。   亮は正直に話すと、真鈴は開いた口が塞がらないと言わんばかりに呆れた顔をした。   マリン「子供じゃあるまいし、況してや生徒会役員ともあろう人が……」   真鈴の小言を気にも止めずに、亮は真鈴を見つめて、ニッコリ微笑んだ。   マリン「な、何ですか? 何が可笑しいのですか? 私は怒ってるのですよ?」   アキラ「うん。眼鏡の真鈴ちゃんも可愛いけど、コンタクトにして髪を下ろした真鈴ちゃんも新鮮で可愛いね。あいつらに見られなくて良かった」   亮の清爽な笑顔と率直な言葉、そして優しく指で髪を絡ませる仕草に、真鈴は目が離せない。    
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