文化祭

14/17
前へ
/140ページ
次へ
  マリン「よくそんな歯の浮く台詞が言えますね。言ってて恥ずかしくないのですか?」   真鈴は亮に気取られないよう、必死に平静を装いながら、握り締めた手はジワリと汗ばんでいた。   唐突にしゃがみ込む亮に驚いて、真鈴は後ろに一歩退く。   アキラ「……やっぱり、ちょっと膝擦りむいてる。今から保健室に行こう」   よく見ると、右膝の皮が剥け、薄ら血が滲んでいる。   ……気付かなかった。 膝を負傷していると気付いた途端、痛みがジワジワと鈍くし出す。   マリン「ほんのかすり傷ですから、平気です。貴方といると、またトラブルに巻き込まれそうですし、もう練習が始まる時間なので、行かないといけませんから」   強気な態度を崩さず、真鈴は教室を出ようと歩き始めたが、その腕を掴まれ、教室にとどまる。   マリン「放して下さい! 私を遅刻させたいのですか!?」   真鈴は焦慮に駆られ、語尾を荒げると、廊下を歩く生徒達の注目を集めた。   アキラ「責任感が強いんだね。だったら、尚更消毒して、ベストコンディションに近付けるのも責任感の内なんじゃない?」   亮は降り注がれる視線もお構い無しに、真鈴に問い掛けた。    
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43906人が本棚に入れています
本棚に追加