1 ケイコク

6/6
前へ
/359ページ
次へ
朝の淡々と流れて行く時間の中 俺がそんな事を考えていると 「えー…昨日 かつあげにあった生徒がいます」 淡々としていた時間が 先生がそう言った瞬間に 濃々とした時間に変貌する それを聞いた生徒達は 「うわ!なんだよそれ」とか「ちょっと ヤバくない?」等の声が上がる かく言う俺も かつあげなんて物には 決して会いたくは無い しかし見た事も無い しかし金を取られたら どれだけ虚しく どれだけ悲しい事だろうか そう考えていると 先生が最悪の一言を言う 「特に 神冶と山寺の寮の方面が危ないから お前ら気をつけるんだぞ」 「そ!そうなんですか!?」 急に山寺がそう言った 本名山寺司(やまでら つかさ) こいつは 俺の小学校時代からの友達だ 性格が明るくて 感情表現が超豊かなやつだ 「あぁ 脅すつもりは無いが 本当に気をつけてくれよ!かつあげ犯は ドスがウリみたいだからな」 ドス 短刀の様な刃物の事 そんな物がウリな奴が かつあげ犯 しかも俺の家路方面 ハァ もしかしたら 今日は学校にこない方が良かったかもしれない こんな事聞かなくても良かったかもしれないから…
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

389人が本棚に入れています
本棚に追加