第三章

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次の日、俺は朝早くに家を出た。 依頼先の現場は家からかなり遠い場所にある。 山を登ることも考えると、早めに出る必要があった。 しばらく車を走らせると大きな山が見えてくる。 どうやらあの山にターゲットがいるようだ。 俺はアクセルを踏む力を強めてその場所へと急いだ。 山のふもとまで着くと、車を止める。 山を見るときちんとした道はなく、木々が生い茂っているだけだ。 しかし、ここから登るのが一番近道なので、俺は多少の食料とナイフだけを持ち、山を登り始める。 これでも毎日トレーニングは欠かさないため、体力には自信があった。 しかし、慣れない環境ということがあって、体力の消耗は激しい。 それに日が昇りきっているため気温も三十度以上に上がっているだろう。 二時間ほど登り続けて、俺は一旦休憩をすることにした。 近くの木の幹に寄り掛かると水分補給をする。 既に温くなった水が喉を潤していく。 先ほどから徐々に体に力が出なくなっている。 やはり昨日睡眠を取らなかったことが大きかったようだ。 俺はターゲットの写真を見ながらいろいろと考えていたら、いつの間にか朝になっていたのだ。 だが、ここで立ち止まっているわけにはいけなかった。 俺は再び立ち上がると歩きだした。
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