第三章

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それから一時間経って、目的地まであと少しの所まで来た。 しかし、俺の力は無くなっていく一方で、今にも倒れそうだった。 「トレーニングが足りないな…。」 俺は日頃の自分を悔いた。 だが、今更そんなことを言っても遅かった。 視界はどんどん歪んでいくばかりで、吐き気までしてきた。 汗が額を伝う。 一旦休もうと思ったその時、俺の体は力をなくし、前のめりに倒れてしまった。 起き上がろうとするが、全く力が入らない。 そしてどんどん視界は狭くなり、とうとう俺は意識を失った。 目を覚ますと、そこは先ほどまでの木々に囲まれた空間ではなく、ログハウスのような建物の中だった。 俺はベッドに横たわっていて、頭にはタオルが置かれていた。 周りを見渡すが部屋には誰もいない。 俺はそれを確認すると溜息をついた。 俺としたことが、たかが山登りで気を失うなんて…。 俺は自分がした失態に怒りが湧き上がってくる。 でも、怒ってしまったことはしょうがない。 俺はとりあえずこの場から去ろうと思い、体を起こす。 しかし、自分の体が自分の体ではないかのように言うことを聞かずに、ベッドから起き上がることはできなかった。
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