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俺は小さい頃から人を殺すためだけに育てられた。
毎日トレーニングをして、人の体について勉強もした。
基礎が付いたら人形に対して実践を行い、十歳になる頃には既に人を殺していた。
だから組織の中でも群を抜いて人を殺す腕があった。
だが、それだけではない。
俺の父親は何を隠そう、組織のトップに立っている『如月 陵』だからだ。
生まれながらにして人を殺す才能があると周りは言う。
そんなものが血だけで受け継がれるのかはわからないが、今あるこの環境に生まれたことも、一つの才能なのかもしれなかった。
「尋さんすみません。」
先ほど怒られていた少年が、親父がいなくなったと共に俺のもとにやってくる。
「別にいいさ。でも、この世界で生きていくなら、そろそろ覚悟を決めた方がいい。」
「はい…。」
彼は今にも泣きそうな顔をしている。
ここにいる人間は大体が訳ありのものだ。
犯罪を犯していたり、生きる道を失ったものが多い。
その所為か、ほとんどの人は人を殺すことに躊躇はしない。
しかし、彼はどうやら少数派に属しているらしい。
どういう経緯でここまで来たのかわからないが、彼なりの事情というものがあるのだろう。
「まあ、無理はするな。」
俺がそう言うと彼は少し安心したような顔をする。
そして俺に礼を言うと部屋を出て行く。
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