覚醒

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 ここはどこだろう。深海なのか、宇宙の果てなのだろうか。  私は一人佇んでいる。  秩序のない暗闇が延々と繰り返されている。不思議と不安や恐怖は無い。むしろ居心地が良いくらいでもある。  私はその暗闇を歩いてみる。一歩一歩、ゆっくりと。生命の存在を感じない暗闇で、それこそ自分自身の姿さえ見えない暗闇で、私はただ前へ前へ。  障害物も無ければ地面の起伏さえも感じない。足の裏の感覚がまるで無い。ここは地面という概念はあるのか。裸足になっているという感覚はあるのだが足の裏で何かを捉えているという感覚が無いのだ。  そこで一つの疑念を抱く。私は進んでいるのだろうか。  歩く動作はしているのだが、全く変わらない暗闇の景色と地を踏む違和感。歩いているという実感が湧かないのだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!