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そして長い沈黙の中、最初にその沈黙を破ったのは、女性の方だった。
「何故…………何故、こうなってしまったんでしょう」
女性は誰に言うわけでもなく、ただ、そう呟いていた。
「確かに私達は、貴方を傷つけました。それも数えきれない程。自分でも決して赦されるとは思っていません。」
女性は後悔と悲しみからか、目に涙を溜めながら、対峙している青年にそう言った。
「昔の私はとても愚かだったと、自分でも思います。守らなければいけなかったのに、たった一人の弟を、貴方を、私だけでも傍に居てなくちゃいけなかったのに、父様や母様、周りの人達を見て、私は貴方を拒絶し傷つけた。」
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