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「っ!!」
女性の反論は青年の怒りの混じった声に消え、青年が纏う空気は一変する。
静寂の中にも怒りがあった殺気は明確な殺意に変わり、そこにあった存在感は、肺に酸素を送り込むことすら痛い威圧感に変わり果て、その場に居ることすら生命の危機を感じさせる程である。
それは、その場に居る女性も例外ではなく、女性の足は微かに震えており、今にも崩れそうな自分自身の体を、一個人としての自分のプライドでどうにか立っている。
そんな状況である。
青年は足が震えている女性を見てフッといかにも人を馬鹿にしたように鼻で笑っていた。
「それに周りを見てみろ!!此処に倒れている魔族達は皆、俺の友を信じ、慕い、人間の差別と偏見で苦しみながらも平和を求め続けていた奴らだ!」
青年は自分達の周りを覆う、数時間前まで生きていた戦友達を横目に見ながら、自身が放つその殺気で息を荒くしている女性にそう言った。
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