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   溢れ出した涙は止まらなくて。心も、息も苦しくて。僕は……薺姉ちゃんになら、殺されても良いと思った。   「カイは『生きていたい』? それとも『死んでしまいたい』? ねえ、どっち?」    首を絞める力を弱め、薺姉ちゃんはそう尋ねてくる。僕は……『生きていたい』のだろうか? それとも『死んでしまいたい』のだろうか? 正直な話、今の僕にはそれが分からない。   「リクやおばさん達、色んな友達を置いて、カイは『死んでしまいたい』の? それとも、昔見殺しにした友達を忘れて『生きていたい』の?」    リク達を置いては……まだ逝けない。  でも、あの三人を忘れるなんて僕には──出来ない。   「……どっちでも、いーや」    何を思ったわけでもなく、僕の口からは自然とその言葉が出てきた。ため息を吐き出すように、言葉を、吐き棄てるように。   「『生きていたい』わけでもないし『死んでしまいたい』わけでもない。中途半端。そう、僕はいつも中途半端なんだ」 「カイ……」 「あの日だってそう。僕は中途半端な力を持って、そして“全て”を、中途半端に終わらせた。その結果が……あの三人の死と、僕の力」    すらすらと。  べらべらと。    僕の口から、言葉が吐き棄てられて行く。   「……ねえ、もういーよ。姉ちゃんの好きにして。僕じゃ何も決められないから、姉ちゃんのやりたいようにやればいいよ」 「それはダメ。カイが決めなきゃダメなの」    もう、投げやりだった。  僕は薄く笑いながらそう言って、薺姉ちゃんに全てを託そうと思った。でも、姉ちゃんはそれを拒む。だから僕は、姉ちゃんの冷たい右手を掴んで、僕の首に押し付けたのだった。  
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