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今夜は各地で雨が降るしょう──と。天気予報はそう告げる。
僕はそれを見ながら、今夜は眠れないなあ……と、ぼんやり思う。
空は灰色で、今にも泣き出しそうな雰囲気。僕は小さなため息を溢しながら、ただ、それを見つめていた。
──雨の日の夜は気を付けて。
昔、近所に住んでいた四つ上の姉ちゃん──薺(なずな)姉ちゃんにそう言われたのを思い出す。僕は当時小学四年生で、薺姉ちゃんは中学二年生だったっけ。
薺姉ちゃんの家は神社をやっていて、その所為か、姉ちゃんは霊感が人一倍強かった。僕にはよく分からなかったが……“そーいうモノ”を見るのは、とてもキツかっただろうと今になって思う。
薺姉ちゃんは中三の夏休み──行方不明に、なった。行方不明になった原因は、六年経った今でも分からなくて……薺姉ちゃんの他にも、行方不明になった三人が家出扱いになっているらしい。でも──姉ちゃんと仲の良かった人だけが、帰って来たんだ。
中学校に入学してから、僕は思った。
薺姉ちゃん達は──“あの七不思議”を検証したんじゃないのか、と。
薺姉ちゃんや僕の通っていた中学校には、よくある七不思議が存在していた。僕も話は聞いた事があり、中三の夏休み、それを友達三人と検証しに行ったんだ。
──それが原因で、僕は、雨の日の夜だけ“そーいうモノ”を視る様になってしまったのだ。
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