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夕方、小さな水滴がぽつぽつと空から落ちて来るのを、僕はずっと見ていた。
今日は土曜だし、特にやる事もなくて僕はひたすら外を眺めていたんだ。二階にある自分の部屋に閉じ籠って、高校二年生が何をたそがれているんだか……。なんだか急に虚しくなって来たけど、今更どうしようもない。
「なんか読も……」
いい加減外を眺めるのにも飽きてきたので、僕は本棚に置いてある適当なマンガを読む事にした。そうすれば飽きも来ないし、何より、時間が早く過ぎていく。
僕は今夜、徹夜をしようと思っている。どうせ眠れないのなら、寝なければ良いんだ。明日学校があったらさすがにキツかっただろうが、明日も休みだ。初めての試みだが、やる価値はあるだろう。
そう思いながら僕はマンガを読み始めた。
「カイー、ご飯よー」
「ん、今行くー」
マンガを読み耽っていたら、いつの間にか時計は七時半を差していて夕飯の時間になっていた。雨音も夕方に比べ強くなっており、明日の夜が心配になって来る。
僕は一階に降り、用意された夕飯を家族と食べながらそんな事を考えていた。
夕飯を食べ終わった後はリビングでテレビを見ながらゴロゴロしている。母さんは洗い物をしてて、父さんは風呂。僕の二歳上の兄であるリクは、ソファーに座りながら僕と一緒にテレビを見ている。
「なあ、カイ」
不意にリクに名を呼ばれ、僕はゴロゴロしたまま顔をリクに向ける。
「何?」
「……今日、雨だな」
「うん、雨だよ」
「お前は雨、好きか?」
「大が付くほど大嫌いだよ。リクは雨が好きなの?」
リクは首を振りながら「俺じゃねーよ」と言いながら笑った。僕は首を傾げながらさらに問う。
「リクが好きじゃなかったら、誰が好きなの?」
「……薺さんだよ」
リクは一瞬悲しそうな顔をして、小さくそう呟いた。
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