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父さんが風呂から上がった後、僕も入ろうと思ってのそのそと起き上がる。正直言えば、明日の朝でも僕は構わないのだが……。
「ちゃっちゃとお風呂入って来なさい。あとはカイだけなんだから」
と、母さんが五月蝿いから入るしかない。僕は着替えを持って風呂場に行き、ちゃっちゃとシャワーを浴びようとシャツを脱いだ。
シャツを脱ぐと同時に鏡に写されている自分を見て、僕はため息を溢す。右肩から胸板に掛けて、大きな傷跡が目に入ったからだ。この傷跡は……“七不思議の音楽室”に行った時にやられたもの。思い出すだけでも嫌になる、僕の一番のトラウマ。
そんな事を思いながら、僕は服を脱いで風呂場に入り、シャワーを浴びていく──と。
後ろに、気配。
そういえば、僕が風呂場に入った後から物音がしたような……。髪を洗っている真っ最中の僕を、緊張感が襲う。運悪く、泡の所為で目が開けられない。なので……仕方ないから、僕はそれをスルーして髪を洗い続ける事にした。
すると気配は消え失せ、僕の緊張感も一気に消え失せる。あれは一体何だったのだろうか。泡をしっかりすすぎながら僕は考えるが、今日は雨の日だ。正体は“奴”に決まってる。
泡をすすぎ終えた僕は風呂場から出て、ちゃっちゃと着替えて廊下に出た。濡れたままの髪をタオルで荒く拭いながら、リビングへと向かう。
お菓子やらジュースやらを部屋に持ってって、今夜はずっと起きていよう。僕はそう思いながら、お菓子の収納してある棚を探ってみた。
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