あの子にあるもの

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とある私立高校に入学し、テニス部に入ることに決めたあたし、河野結栄(かわのゆえ)は、 今日、部活見学のためにテニス部のコートに来ていた。 あたしの横にいる、女の子。 きっとこの子も、あたしと同じで部活見学に来ている子なのだろう。 同じ女としても目を張るくらい、細くてスタイルもよくて、 そして何より顔立ちの整った子だった。 「テニス部、入るの?」 「…えっ?あっ…うん。」 初めて話しかけたのは、向こうからだった。 さっきまでその子に気をとられていたあたしは、いきなり声をかけられて、驚いてきっとマヌケな顔をしていただろう。 「私もテニス部に入るつもりなの。あ、私、宮本愛依子(みやもとあいこ)。あっこって呼んで。よろしくね。」 そう言って笑った顔は、あたしと対照的になるくらい可愛かった。 .
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