あの子にあるもの

6/13
前へ
/45ページ
次へ
次の日の放課後も、あたしはテニス部の見学に行った。 すでに、愛依子ちゃんと果帆ちゃんが来ていた。 「あ!結栄ちゃんだ~。」 「あ、愛依子ちゃんと果帆ちゃん。」 「私のこと、あっこでいいよ~。」 「じゃあ、あっこちゃん。」 あたしがそう言うと、あっこちゃんはにこっと笑った。 眩しい笑顔。 こんな笑顔を向けられたら、男なんてイチコロなんだろう。 しばらくすると、他にも何人か見学者が来た。 男女合わせて5、6人くらい。 また、昨日の男子の先輩が来て、見学者の皆に色々と説明していた。 すると、あたしの存在に気づいたのか、先輩がこちらに近づいて来た。 「昨日も来てた子だよね?」 「あ、はい。」 「河野…だっけ?」 「…覚えてくれてたんですか?」 「覚えてるよ(笑)!昨日の今日だし。」 そう言って笑った顔は、あっこちゃんの男版ってくらい、眩しかった。 .
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加