黙示録の前奏曲

4/4
前へ
/35ページ
次へ
  胡飲酒が出ていき、誰もいなくなった部屋に残されたヘル。 彼女は、ポツリと呟いた。 「本当にわかりやすい子ね……でも」 ヘルは机の上に山積みにされている書類へ歩み、書いてある内容に目を通す。 『M.W.B』――この事件の首謀組織の総称。 神々の失踪とブリキの玩具のような生命体による被害は、おそらく彼等の仕業と見ていいだろう。 しかし、 「それ以外の情報が全くと言っていい程に集まらない……フェンシエンス、一体何をしているのよ」 愚痴のように、現実世界の神の名を紡いだ。 ――――――――――― ――――――――― ―――――― ――― 部屋を出て、進んだ先には本部の出口。 胡飲酒が何もない空間に手をかざすと、空間が捻れ……廻間回路が開かれる。 「さぁーて、いっちょやりますか」 果てしなく続く青いトンネルのような回路。 胡飲酒は一歩、その廻間回路に足を踏み入れた。 「――神腕の銃射手、胡飲酒。参る」 黙示録の前奏曲 ひかり達が最初の異世界へ向かう、二ヶ月前の出来事。 fin
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加