13人が本棚に入れています
本棚に追加
胡飲酒が出ていき、誰もいなくなった部屋に残されたヘル。
彼女は、ポツリと呟いた。
「本当にわかりやすい子ね……でも」
ヘルは机の上に山積みにされている書類へ歩み、書いてある内容に目を通す。
『M.W.B』――この事件の首謀組織の総称。
神々の失踪とブリキの玩具のような生命体による被害は、おそらく彼等の仕業と見ていいだろう。
しかし、
「それ以外の情報が全くと言っていい程に集まらない……フェンシエンス、一体何をしているのよ」
愚痴のように、現実世界の神の名を紡いだ。
―――――――――――
―――――――――
――――――
―――
部屋を出て、進んだ先には本部の出口。
胡飲酒が何もない空間に手をかざすと、空間が捻れ……廻間回路が開かれる。
「さぁーて、いっちょやりますか」
果てしなく続く青いトンネルのような回路。
胡飲酒は一歩、その廻間回路に足を踏み入れた。
「――神腕の銃射手、胡飲酒。参る」
黙示録の前奏曲
ひかり達が最初の異世界へ向かう、二ヶ月前の出来事。
fin
最初のコメントを投稿しよう!