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「これは、実験の企画概要ですね……」
やはり、ファイルの中身は例の“事件”に関連したものであった。
人体実験の概要、人体実験における効果とその内容、必要な器具や機械、実験方法……綺麗に、そして細かく記されている。
更には、ファイルの中にフロッピーが挟まっているのも発見した。
「では、こちらは…?」
ダスクは残り三冊のファイルを拾い上げ、開く。
「……被験者リスト」
人体実験をその身に行われた者――被験者のリストだった。
「こんなにたくさん…」
顔写真も貼られているため、とても見やすい。
パラパラとページをめくっていったダスクだったが、ふと一人の顔写真が貼られているページに差し掛かった時――手を止めた。
「この方は……」
驚きの表情で、そのページを見つめるダスク。しばらくそのページを見つめていたが、やがてパタンとファイルを閉じた。
「後でテクノカルトに解析を頼むとしましょう……フロッピーもついていることですし」
その七冊のファイルを自身が持っていた赤い本のページの中に入れると、ダスクは研究所の出口へと足を向けた。
「まさか……あの方が」
その呟きは、誰にも聞こえない。
『七年前の爪痕』
それは、負の遺産
fin
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