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「……うざい」
――――廻間世界、廻間世界情報部機関『オラトリオ』本部の一室にて。
その一室でため息をつき、胡飲酒は傍らにあるものへと目をやった。
そう、積み重なる書類の山、山、山。
この膨大な書類は全て、世界各地から寄せられる神々が謎の失踪やその後に現れたブリキの玩具のような生命体の被害についての資料である。
場所や人の過去の記憶を読み取る少女、疑似江戸っ子格闘家の男などがかき集めた情報。
でも――――
「俺は最前線が良いのになぁ……」
何故か胡飲酒はデスクワークだった。
首長曰く、「たまには処理もしないとね」らしい。
「でもよぉ、俺にはデスクワークは向かねぇんだって……面倒だし」
彼女はまた、ため息をつく。
ため息で書類の山が消えるというわけでもなく、ただ無駄な時間が流れていくだけだが。
と、誰かがドアをノックする音がした。
……一体誰だろう?
胡飲酒は椅子から立ち上がるとノックされたドアに向かい、ノブを回す。
「はーい…どちら様?」
「私よ」
「ああ、ヘルか……って、ヘル!?」
首長、ヘルが来た。
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