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白いマントを翻し紅い瞳を胡飲酒の傍らに向け
「……はかどってはないみいね」
手付かずの書類の山に、盛大なため息をつく首長――ヘル。
見た目は胡飲酒と同い年だが、これでも立派な指導者である。
「デスクワークは苦手です」
「仕方ないわね……じゃ、これはどう?」
べしゃっと机に伏せた胡飲酒に呆れつつも、ヘルは指に挟む一枚の紙切れを出した。
「何それ」
「貴方の大好きな野外任務内容」
「何!?」
「ナイス反応ありがとう」
一気に活性化した胡飲酒。
並大抵ではない切り替えの早さだったが、冷静にツッコミを入れたヘルは紙切れを胡飲酒に渡した。
「任務内容はこうよ。世界各地を回り、現状の調査をした上で本部に報告。その他の行動は、蔭人と機関の規則に違反していなければ自由とする」
OK? と尋ねたヘルに胡飲酒はニヤリと笑みし、椅子から立ち上がると傍らの二丁拳銃を腰に着けた。
「任せな、良い結果持ってきてやるからさ」
「ええ」
気分揚々でヘルの横をすり抜け、胡飲酒は部屋を後にする。
その表情は、嬉しさという輝きに満ちていた。
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