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「なんていうか……あれは本当に何も言えなかったわ」
遠い目をしながら沙希が呟く。
「………………うん」
私の告白を影で見守ってくれていた沙希も口が開いてたね。
見たまんまにポカーンって。
「私も沙希みたいだったら少しでも女として見てくれたのかな……?」
150に満たない低い身長に、未だ中学生……下手すれば小学生にさえ見える童顔っぷりな私。
反対に沙希は163センチという私の理想の身長にスラッと伸びた手足。
そんなにメイクをしていないのに誰もが振り返るような整った顔。
ゆるくウェーブがかかった長くて明るめの髪。
何人もの男の子が沙希に告白してきたのを私は知っている。
自分の外見のせいにするわけじゃあないけど、神様、不公平ですよ。
「沙希ちゃん可愛いねぇ~。おまけにいい匂いもするし。わぁ~~女の子だぁ~~」
「ちょっと流香? なんかおっさん化していない? 私は流香の方がよっぽど可愛らしいと思うんだけど」
くんくんと嗅ぐ真似をしている私の奇妙な行動に身を捩りながら、沙希は私のコンプレックスをフォローしてくれたけど、私はそれを聞いていないふりをした。
「岡田だってそのうち……あっ」
「それはないよ」
期待を促す沙希はあることに気付いたらしく、言いかけた言葉を途中で止める。
それと同時に私もキッパリと断言した。
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