【私はあんたの何なのさ】

11/26
前へ
/835ページ
次へ
「いや、うん……えっと……」 口を濁す沙希。 私のためにその先の言葉をハッキリ言わない沙希は優しい。 彼女のためにも、いい加減、いつまでもこんなトークを続けるわけにいかないですね。 「よし、部活の時間! もう行かなきゃ!」 「あ、今日演劇部だっけ?」 いきなり立ち上がった私にちょっとビックリしながらも、私に合わせて沙希も明るい声を出す。 「そう! 新入生も入ったことだし、今日はこれからの活動内容のミーティングなの!」 こぶしを天井に向かって突き上げながらやる気を出してきた私に、沙希は優しく微笑んでくれた。 「じゃあ私、先に帰ってるからね」 ポンポンと私の肩を叩く沙希。 「うん! ごめんね今日は……」 今朝のあっくんとのやり取りでため息ばかりついてて……。 私は今日一日の反省と謝罪を沙希に伝えた。 そんな私に沙希は片目だけを閉じ、可愛くウインクしながら応えてくれる。 「いいって。私にぐらいため息をこぼしなさいな!」 あぁ、沙希。 やっぱり持つべきものは親友だね。 って、ごく最近、私は似たようなフレーズを言われた気がします。 いえ、似たようなじゃあありませんね。 ていうか『気がする』というほど、そんなに時間は経っていません。 今朝のあっくんじゃあないですか。 .
/835ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1560人が本棚に入れています
本棚に追加