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一度一階まで降り、何度か角を曲がって部室に通じる廊下を行く私。
東楠高校にはたくさんの部活があるけれど、それらの部室は一つの棟でまとめられているのではなく、無造作にあちこちへ散らばっている。
運動部など、ある程度活動が盛んな部活にはちゃんと校庭や体育館に直行できる位置で部室や倉庫が配備されているけど、大抵の中小規模の部活は活動に配慮された場所を割り当てられてなどいなく、適当に空いている教室やスペースを拠点にしているのがほとんどです。
私が所属する演劇部も、そんな中規模部活の一つ。
私はそんな校舎の端っこにある部室へ、とことこと進んで行った。
「また今日も……なのかな?」
演劇部での活動自体は大好きな私だけれども、先を予測しようとすればするほど足どりが段々と重くなってくるのを感じた。
行きたいけれど、行きたくない。
去年までは、部活が始まる放課後が学校に来る楽しみの一つと言っても過言ではないくらい大好きだった。
あっくんのことを忘れられる、貴重な時間だからです。
大して目立つような部ではないけれども、部員みんな仲が良く、いつも笑いが絶えない空間。
私のコンプレックスである身長と顔も、
「それは個性だ! 存分に部で発揮してくれたまえっ!」
と、言ってくれた部長のおかげで気にならないで済む。
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