【私はあんたの何なのさ】

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「先輩!」 ――ガバァッ 「ふぇ? ……ひっ! って、きゃあああっ!」 不意に私は背後から誰かに抱きつかれた。 いえ、誰かなんて回りくどいですね。 私、その誰かを知っています。 こんなことを学校の! まだ他の生徒がちらほらいる廊下で! 遠慮なしに異性に抱きついてくるやつは、あいつしかいない! 「へっへ~。先輩、ドキッってした?」 「秋月――――――! あんたはぁ! 何すんの? 離してよっ!」 「やだっつーの。先輩、さっきから呼んでんのに無視したから」 見事こちらの要求は却下されました。 いや、そもそも要求をのむような人間ではないことぐらい分かってるでしょ自分! 私を背後から抱きついてきた人物。 今年、演劇部に入ってきた一年生の秋月楓(あきづき かえで)。 ……こいつが、『あいつ』です。 「無視したんじゃなくて気付かなかっただけでしょ! は~な~し~て~っ!」 バタバタともがく私に、秋月はベッと舌を出す。 「そんなん知らねーもん。ねぇ先輩、ドキッってしたでしょ?」 このやろう! しまいには頬ずりまでしてきやがりましたよ! いけない、いけない。 口が悪すぎました。 渾身の力を込めて、秋月から逃れようとする私。 でも、ガッチリと組まれた腕は微動だにしない。 . image=411611513.jpg
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