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カッチ――――――――ン
えっと、ここまでくればお分かりになるかと思います。
私が部活へ行くのに足が重くなる理由。
それがこの、秋月楓です。
見た目は通った鼻筋にきめ細やかな肌。
澄んだ大きな瞳に長い睫毛。
アッシュカラーの長くも短くもない髪はサラサラでかなりのイケメン君。
しかも、むかつくぐらい長身。
まだまだ150センチに届かない私に対する当て付けと言わんばかりに、余裕で175以上はあるし!
それは個人的に物凄く置いとけないけど、とりあえず置いとくことにします。
最初、秋月が演劇部に入ってくれた時は他の部員と一緒に喜んだものです。
あまり注目されにくい部だったけど、彼が入ってくれたことで少しはこの演劇部も活気づくと思っていました。
だけど。
「罰として先輩、このまま俺に抱かれながら部室行きね」
ニコッ、と。
きっと何人もの女の子を一瞬で落とせそうな、そんな笑顔で秋月は私に言ってきた。
だけどそれに騙されない私は、即座に反論する。
「はああ~? 罰ってなんでよ! 気付かなかっただけでしょ? どうしてそれで私があんたに抱っこされなきゃならないの!」
よちよち歩きの赤ん坊じゃああるまいし!
意味わかんない!
演劇部の救世主……は、言い過ぎかもしれないけど、でもそれに近いぐらいには思っていたのにぃ!
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