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「ひっ! きゃあああああっ! な、なにすんの、やだ! 降ろしてよっ!」
「あぁ先輩、この高さは初めて? 良かったね! 軽く160センチデビューしたじゃん」
もうブチギレそうです。
「視線の高さだけじゃない! 恥ずかしいでしょ、この格好はっ!」
「俺、別に恥ずかしくないから。じゃあ行こうか? お姫様」
腕の中で暴れている私をよそに、ニヤッと不敵な笑みを浮かべる秋月。
バカんしてバカにしてバカにして~~~~~~!
秋月にはあまり知られたくないけど、慣れない高さへは確かにチビな私にとって恐怖するものです。
しかも、それが地に足がついていないとなればなおのこと。
不安定で恥ずかしい恰好を余儀なくされているものだから、私が暴れまくるのも必須。
それが人を小馬鹿にするような後輩からもたらされたものなら余計。
私の意識は、恐怖やら怒りやら恥ずかしさやらで支離滅裂となっていった。
だけどそんな私の心情をよそに、当の後輩本人である秋月はいかにもシレッとした面持ちだった。
「先輩、あんまり暴れるとパンツ見える。つーか見えてる」
――ガバァッ
顔が一気に熱くなるのを感じながら、私は慌ててスカートを手で押さえた。
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