私の愛する人たちへ

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嘘 嘘はついちゃいけないと教わった もちろんそれは大人になっても守るべき約束だ 子供の時に一度、親に嘘をついた 友達に誘われたら断れないのは父親譲りだった 映画を見ると言うと「いけない」と言われる 仕方なかった こうするしかなかった 正直、罪などないと思ってた 門限は5時 映画が終わるのは7時 どうしても観たかった だから先生とクラスのみんなと行くと言ってしまった 家に帰ると父親に殴られた しこたま嘘をつくなと叱られた 父親の目に涙 母親の目にも涙 泣きながら母親は警察に電話した 「無事でした」と。 あの日のことは忘れてはいけないと思った そう思ったら涙が止まらなくて何度も謝った 映画館に行くとふとあの日が蘇ります
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