三章 学生の本分

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 とにかく、蓮先輩からの申し出を丁重にお断りすると、蓮先輩は相変わらずのテンションで濡れてしまった千秋を連れて風呂場に向かった。  俺が『入る』と言ったら本当に一緒に入ってくれたんだろうか……想像するのはやめておこう。姉ちゃんに罵られ―― 「なにニヤニヤしてんのよ。気持ち悪い」  ――手遅れでした。  姉ちゃんがリビングを出て行った後、隣に座っていた比泉が声をかけてきた。 「新山よ、今こそ我らが写真部の実力が試される時だとは思わないか?」  比泉の手にはいつの間にか防水加工されたカメラが……ってまさか! 「覗くつもりか!?」 「声が大きい。それに今から行うのは覗きなどという低俗な行為ではない。溢れる美をカメラに収める……芸術だ!」  それは世間一般では盗撮って言うんだよ。
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