五章 特訓の先には……

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「そこはビブラートきかせて……そうそうそんな感じ」  相変わらずゆーちゃん先輩の教え方はわかりやすい。  練習を初めて一時間ほどで今日発見した課題はほとんどクリアしてしまった。 「ゆーちゃん先輩の両親も音楽をやってるんですか?」 「んにゃ? どうして?」  疑問に思っていたことをなんとなく聞いてみると、予想外なことに疑問を疑問で返された。 「いや、こんな立派な防音室がついてるから、そういう家系なのかと」 「あぁ、この防音室はあたしの誕生日にプレゼント代わりに作ってくれたんだよ」  誕生日プレゼントのスケールでけぇな!  この家自体中庭があったりガレージがついてたりとけっこうデカいし、もしかしてゆーちゃん先輩の家ってお金持ちなのかな?  まぁあんまり家庭の事情を根掘り葉掘り聞くのも悪いし、この疑問は心の中にしまっておこう。
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