五章 特訓の先には……

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 しかし、夜に学園に忍び込んだことがないわけではないが、やっぱり夜の学園というのは不気味なものだ。  いつもは気にならない風の音や木々の揺れる音がとても大きく聞こえる。  そんな学園内の奇妙な雰囲気に魅力されている俺の隣では―― 「夜の学校ってテンション上がるよねー!」  学園のアイドルが明らかに場違いなテンションで楽しそうに歩いていた。  蓮先輩って絶対肝試しとかでも怖がるどころかむしろ悪ノリするタイプだよな。 「夜の学校にこっそり入ったり、秘密の地下室で遊んだり……こういうのも楽しいなぁ」  そう言って笑う蓮先輩の表情は、ほんのわずかだが曇っていた。  もしかしたら、『学園のアイドル』『生徒会長』など、色々なことが重荷になって、本人は今の時間を十分に楽しめてないんじゃないだろうか。
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