六章 彼女の笑顔

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 まだめぼしい露店は開いてないし、食堂に行こうと思ったのだが、蓮先輩に屋上に行っててほしいと言われたので、現在俺は部室棟の屋上で蓮先輩を待っている。  待っていた……とは言ってもほんの数分程度だが、しばらく屋上でなにをするわけでもなく時間を持て余していると、重い屋上の扉をゆっくりと開けて蓮先輩が入ってきた。 「お待たせー」  駆け寄ってくる蓮先輩の手には2つの包み……あれはまさか。 「はい、これ亮介くんの分」 「もしかして手作り弁当ってやつですか?」 「うん、料理は得意だからきっと美味しいと思うよ」  蓮先輩が……学園のアイドルが俺に手作り弁当を?  幸せすぎやしないか? もしかして望さんが仕組んだドッキリ……とか。  周囲にカメラがしかけられてないことを確認して、蓮先輩に視線を戻す。  蓮先輩は少しだけ頬を赤くして俺の様子を窺(うかが)っている。か、可愛い……  これはさすがに演技ってことはないだろう。
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