六章 彼女の笑顔

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 二人並んで屋上の隅に座り、弁当箱を開く。 「彩りも良くてすげぇ美味そう」  こんな時にありきたりな感想しか言えない自分に若干イライラする。  それでもそんな俺の一言に優しい笑みを浮かべてくれる蓮先輩。  今の笑顔にはどんな意味が込められているんだろうか。 「それじゃ、頂きます」 「はい、どうぞ召し上がれ」  メインのおかずと思われるハンバーグを一口サイズに切り、口に運ぶ。  ……うん、文句なしの美味さ。 「美味しいです」 「ホント? えへへ……良かった」  恥ずかしそうに笑う蓮先輩はとても魅力的だ。  でも、あの夜の出来事以来、考えるようになった。  嬉しい時も笑顔、悲しい時も笑顔、照れてる時も笑顔、怒っている時も笑顔……それは本当に幸せだと言えるのだろうか?
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