六章 彼女の笑顔

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「一般解放まで後一時間を切った。俺達の出番までは丁度一時間くらいだな」  軽音楽部のライブは体育館に作った仮設ステージで行われ、俺達はその軽音楽部の中のトップバッター。  蓮先輩に対するアンコールを予想しての配慮らしいが、相変わらず凄いものだ。 「もしアンコールがあっても同じ曲をやるんですよね?」  近くにいた望さんに聞いてみる。 「もし、というか絶対あるだろうけどな。まぁ一曲しか練習してないからそれで通すか、もしくは蓮のアカペラになるかな」  確かに蓮先輩なら一人でも観客を沸かせることができるような気もするが、結局先輩に頼るしかないのはちょっと悔しいな……  そんな俺の肩をポンと叩く望さんの手。 「今日が最後ってわけじゃないんだからさ、次は少年も蓮の力になれるように頑張ればいいだろ? その為にも今日は全力で乗り切ろうぜ」  まるで俺の心を見透かしているかのように喋る望さん。  でも、今の俺にとって望さんの言葉は凄く励みになった。
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