六章 彼女の笑顔

8/14

3298人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
 そして、一時間後の14時30分…… 「蓮、MCよろしくにゃあ」 「うん!」  俺にとっては初めてのライブが始まった。  仮設ステージの幕が上がり、目の前には広い体育館を埋め尽くす大勢の観客。  その中の三分の一以上が『蓮LOVE』と書かれたハチマキを巻いて、ピンク色のはっぴを着ていることはこの際気にしないことにしよう。 「皆さんこんにちは! 青海学園軽音楽部でーす!」  蓮先輩のMCが始まると共に湧き上がる観客達。 「今日は私達のステージを見にきてくれて、みんなありがとー!」  慣れた感じで笑顔を振りまく蓮先輩……  そんな彼女の笑顔に偽りはなく、今まで見てきたどの表情よりも……綺麗だと思った。 「それでは聞いてください。『MEMORY』」  蓮先輩のMCが終わり、望さんの合図と共に、演奏が始まった。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3298人が本棚に入れています
本棚に追加