六章 彼女の笑顔

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 俺達の出番は十分という短い時間だったが、俺にはそれよりもずっと長い時間演奏していたように感じられた。 「目立ったミスもなかったし、大成功だったねー」 「まぁ十日で仕上げたにしては十分な出来だな」  ライブ終了後、俺達は音楽室で自分達の演奏を振り返っていた。 「さてと、俺は写真部の方の準備があるからもう行くわ」  望さんはそう言って立ち上がる。 「私がいる前で堂々と生徒会の仕事をサボるつもり?」 「代わりに少年を貸してやってるだろうが」  俺を勝手にレンタルしないでください。 「まったく……これが来期の生徒会長だっていうんだから青海学園の未来は暗いねぇ」  それは確かに……  ホントなんでこの人は生徒会長に立候補したんだろう。  他にも立候補がいたにも関わらず学園きっての問題児である望さんが選ばれたのだって裏で暗躍したに違いない。
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