七章 聖夜の夢

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 その後、トラブルも収まったので俺は先輩達と別れ、蓮先輩に事の次第を報告する為に生徒会室に戻る。  その途中、やつの姿を見た。  黒色で二本の触覚を持ち、至る所に現れる我々人間の天敵―― 「新山よ、こんな純粋で知的でイケメンな男子生徒を捕まえてまるでGを見たような表現をするな」 「どこが純粋で知的なんだよ」 「イケメンは否定しないんだな」  悔しいがそこは否定できない。  うらやましいことに黒い奴こと比泉紫苑は俺なんかよりずっと整った顔立ちをしているからな。  なぜ俺が比泉に対してあんな表現を使ったかと言うと、その理由は今の比泉の格好にある。  なにかの出し物に使うのか、比泉は真っ黒なマントを羽織っているのだ。  ちなみに触覚というのは特徴的な二本のアホ毛のことで、至る所に現れるってのはもはや説明する必要もないだろう。
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