七章 聖夜の夢

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 蓮先輩への報告もあるので、俺はひとまず比泉と別れて生徒会室に向かう。  生徒会室の扉を開けるとそこには一人書類の整理をしている蓮先輩の姿があった。 「あ、おかえり亮介くん」 「ただいま。他の役員の人達はパトロールですか?」 「うん、なんか今日は色んなところでトラブルが起きててね、忙しいったらないよ」  こんな状況で『デートしてください』なんて言えるわけがないじゃないか。比泉のバーロー。  俺は自分にあてがわれた席に座り、蓮先輩に事の次第を報告した。 「なるほどねぇ、やっぱりクリスマスイブともなるとみんな一人じゃ寂しいんだろうね」  俺もその中の一人に入るので、ちょっぴり胸が痛い。 「蓮先輩はいないんですか? クリスマスイブを一緒に過ごしたい人……とか」  言ってから気づく。生徒会の仕事で忙しくてそんな時間もないというのに、俺はなんて無神経だったんだろう。  しかし、蓮先輩は特に気にする様子もなく―― 「いないこともない……かな」  ――と言って笑った。
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