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蓮先輩が勢いよく放送室の扉を開くと、そこには案の定比泉紫苑の姿があった。
「意外と早かったな、生徒会長よ」
「まったく、キミはいつもいつも問題ばかり起こして……さぁ、爆破スイッチを渡しなさい」
蓮先輩がそう言うと、比泉は一度顔を伏せ、やがて高らかに笑い出した。
「はっはっは。生徒会長よ、俺は『我々は手元にある爆破スイッチを押す』と言ったんだぞ? 『俺が』押すとは一言も言っていない」
つまり、比泉は俺達を引きつける為の囮で、爆弾の爆破スイッチを持っているのは……望さんか!?
「新山は気づいたようだな。だがもう遅い!」
比泉はそう言って放送室の時計を指差す。
それが示す時刻は午後6時ジャスト。
もう間に合わない。そう思った俺は瞬間的に身構える……が――
「なにも起きないぞ?」
「な、なぜだ!?」
いつも冷静な比泉もこれは予想外だったらしく、激しく同様している。
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