七章 聖夜の夢

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 それからしばらく固まっていると、比泉の胸ポケットに入っている通信機から望さんのものと思われる声が聞こえてきた。 『悪い比泉、風見夏紀にスイッチを奪われちまった』  比泉はそれを聞いて廊下の窓からグラウンドの方を見る。  俺もつられてグラウンドを見てみると、小さくてよく見えないが、そこには望さんらしき人物が複数の人間に捕まっている光景があった。  望さんはグラウンドにいたのか。姉ちゃんよくわかったな…… 「風見夏紀……いささかやつを侮っていたようだな」  ぶつぶつと呟く比泉は思いっきり悪役面だ。 「さて、未遂だったにしろ比泉くんにも罰を受けてもらわないとね」  後ろにいた蓮先輩が笑顔で比泉に詰め寄る。 「ふっ、それは遠慮しておく」  比泉はそう言って床に小さな玉を投げつけた。  すると、辺り一面に白煙が充満して、俺達が視界を奪われている間に比泉はその場からいなくなっていた。  あいつってやっぱり忍者の末裔かなんかなんじゃないだろうか。
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