ボクとシロ

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もしかして、お父さんはシロのことが嫌いなのかな? でも、それも違う気がする。だって、家族が時々シロのエサをヤリ忘れたとき、お父さんがソッとシロにエサをやってるんだ。 その時だけ、お父さんはシロの頭を撫でてあげるんだ。 お父さんの手は大きいから、シロの小さな頭はスッポリ隠れちゃう。だから、シロは喜んでるか分からないけど、グーグー言ってたから、多分、シロは喜んでるよね。 3 ボクは、三年生になった。 ボクは、四月十二日が誕生日だから、歳も一つ増えて、九歳になった。 シロも一年経って、だいぶん大きくなったよ。 一年前は手のひらに乗るくらいの大きさだったのに、今は両腕に抱えて、ダッコしないと抱えきれないんだ。 最近、シロはボクのところに来なくなった。 「シロ!」って呼んでも、エサをやるとき以外はボクに見向きもしない。 お母さんは、「大人になったんだね」って言ってたけど、ボクには意味が分からないよ。だって、ボクはまだ子供なのに、シロだけ大人になるなんて変じゃない? シロは、しきりに外に出たがるようになった。 エサの時間でもないのに、窓に向かって「ニャ~」ってないたら「外に出して」って合図なんだ。 ボクは、シロを外に出したくないから、ワザと窓を開けてやらないんだ。 そうすると、シロは開けることができないクセに窓に向かって爪をたてて、ガジガジと音をたてるんだ。 それでも、無視してると、宿題をしているボクに向かって、今度は噛みついてくる。 猫だからって甘くみない方がいいよ。 結構、痛いんだから! 仕方ないから、外に出してあげると、人に礼も言わないで、ピョンって窓から飛び出して外に出る。 全く薄情な奴だなぁ。 シロが外に出て何をしてるかって? 実は、ボクも何をしているかは分からないんだ。 でも、天気の良い日なんかは、ボクの家の庭で、体を仰向けにして、ゴロゴロしてるから、きっとシロは外でゴロゴロしたかっただけかもしれないね。 4 シロが家に帰って来なくなった。 一日だけとかじゃないんだよ。 もう、一週間も帰って来ないんだ。 ボクもお母さんもお父さんも、みんなでシロを捜したんだけど、どこにも居ないんだ。 次の日。学校から、家に帰ってたら、シロを発見した。
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