ボクとシロ

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シロは、近所のおじちゃんの家で『ミルク』って呼ばれてた。 全く、困ったものだよ! だって、コッチは一生懸命捜したってのに、シロの奴ときたら、おじちゃんに頭をすり寄せて、呑気に甘えてるんだもん! そのことをお母さんに話したら、「シロはおじちゃんの家の子になったんでしょ。コレで、面倒みなくてよかったわ」だってさ! ヒドいと思わない? シロも家族の一員だよ! だから、ボクはシロに「家に帰るよ!」って言ったんだ。 でも、全く言うことを聞かないから、おじちゃんからもシロが帰るように説得してくれるよう頼んだら、「シロは、お泊まりしてるだけだから、その内帰るよ」だってさ! それならそれで、ちゃんと伝えてくれなきゃ困るよ! 兄として、知っとく義務がボクにはあるんだから!! おじちゃんの言った通り、シロは三日したら家に帰ってきた。 お母さんは、「もっと向こうに居てくれてよかったのに」って溜め息ついてたけど、ボクは嬉しかったな。やっぱり、シロがいないと淋しいよ。 シロが居なくて、寂しがってたのはボクだけじゃないよ。 おじいちゃんなんか、毎日シロとお散歩してるから、シロがいないと散歩に行けないって愚痴るんだ。 仕方ないから、ボクが一緒に行ってあげてたんだけど、散歩途中にある公園まで来ると、たまらず、泣き始めちゃうんだ。 ボクはおじいちゃんに「泣かないで」って頼むんだけど、結局、家に帰り着くまで、おじいちゃんは泣き止まないんだ。 おじいちゃんにも困ったものだよ。 お父さんは、シロがいない一週間ちょっとの間、別に変わったことはなかったけど、仕事から帰ってきたときだけは、シロのことを聞いてたなぁ。 きっと、心のそこではお父さんも寂しかったんだと思う。 だから、シロが帰ってきたとき、二人も嬉しかったと思う。 おじいちゃんは、帰って来た瞬間、手を挙げて万歳してたし、お父さんは、大して何も言わなかったけど、シロの頭をいつもより多く撫でてたから。 5 シロの元気がない。 いつものように、外には出るけど、帰って来たらエサも食べずに寝ちゃうんだ。 お母さんは、「どこかでエサを貰ってるだけでしょ!」って言ってるけど、本当にそうなのかな…。 お母さんは、時々、適当に物を言うときがあるからなぁ。
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