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二、三日して、シロが外にすら出なくなった。
床に横たわって、お腹を膨らまされたり凹ませたりするんだ。なんだか苦しそうだった。
流石にお母さんも変だと思ったみたいで、お父さんに相談してたみたい。でも、お父さんは全く興味がないみたいで、お母さんの話は無視してた。
じいちゃんは、「シロが死んじゃう~」とか言って、半泣きするから、ボクはじいちゃんを宥めるのに忙しくて、シロを心配するヒマがなかったよ。
そのウチ、シロはガサガサと家の中でイタズラをするようになった。
開けっ放しのタンスの中に入ったり、押し入れの中に入り込んでたり、畳んである洗濯物の上に乗ってたこともあったなぁ。
とにかく、シロがコレまでにない異常な行動をしてることはボクが見ても分かった。
だから、ボクはシロを叱ったんだ!
ボクも嫌なことがあったら、イタズラとかしたくなっちゃうから、きっとシロもそうだと思ったんだ。
だけど、違った。
お父さんの話によると、シロは妊娠したんだって!
驚いたよ。だって、シロは、まだ一年ちょっとしか生きてないのに、もう赤ちゃんがお腹の中に居るなんてー…。
もしかして、ボクがシロを叱ったとき、シロがボクを噛みついた理由って、妊娠してて、イライラしてたからかなぁ。
そうだったら、ごめんね。シロ!
シロのお腹は、日に日に大きくなっていった。シロは、イタズラもしなくなって、最近はずっと押し入れから出ようとしなくなった。
心配だから、ボクはシロを覗きに行くんだけど、シロは「ハーッ!」って口を大きく開けて、「あっち行け」って言うんだ。それでも触ろうとすると、口で噛みつくか手でボクをひっかくんだ。
シロの奴も随分とワガママになったもんだよ!コッチは心配してやってるのにさぁ!
だから、ボクはシロを無視してやることに決めたんだ。
友達同士がよくやる『絶交』ってヤツね。もう知らないよ!あんなヤツ!!
でも、そうも言ってられなくなった。
ある日。押し入れを何気なく覗いたら、シロがお腹を激しく上下にさせてるんだ。
凄く苦しそうだった。
『絶交』なんてバカなこと言ってるヒマはないね。ココは、『絶交』を一時中断して、シロを看病してやらないと。
でも、ボクは何をやっていいか分からないから、シロの傍(そば)で「頑張れ」って応援することしか出来なかった。
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