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「コイツ相原 悠紀。小学生からのツレ。で、こっちが従兄弟の池上 猛」
あまりに簡単な紹介に、つい笑ってしまう。
紹介された少年は、数年前の修一に面差しがよく似ている。
しかし、いくつか大きく違うところがある。
修一は、青くすらみえるほどに深い漆黒の瞳と髪。
固くクセのある髪を短く切って、ワックスで毛先を遊ばせている。
奥二重の瞳は切れ長で、不遜と理知を宿している。
対して、猛は日に当たると明るく輝く鳶色のそれら。
クセのある髪を耳の下まで伸ばし、櫛形のカチューシャで前髪を上げている。
まるでライオンのたてがみのようだ。
奥二重の瞳は切れ長で、冷徹と傲慢を宿している。
鼻から口元、顎の形はよく似ている。
修一が黒豹。
猛はライオン。
どちらも猫科の肉食獣だ。
「どぉも。」
肩を上げただけの挨拶は、猛の容姿によく似合っていた。
身長は修一より僅かに高い。
何かスポーツをしているのか、服の上からでも鍛え抜かれた流線が伺える。
「よろしく」
俺が滅多に浮かべない笑みを向ける。
彼は鼻にシワを寄せてちらりと八重歯を見せた。
……笑った、のか?
一瞬、威嚇されたのかと思うほどハクのある微笑だった。
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