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「なんて呼べばいいっスか?」
猛の言葉に少なからず驚く。
敬語を使う努力をしているらしいことも、呼び名の許可を得ようとするその内容も、第一印象の猛とはギャップがあった。
「好きに呼んで下さい」
「じゃあ、悠紀さんでいいっスか?自分のことは猛って、呼び捨てにして下さい。呼ばれ馴れているんで」
あ……。
優しい目だ。
目元だけの微笑は、驚くほど彼の表情から冷徹さを拭い。
彼を高校生らしい顔に変えた。
「わかりました。今日は突然お邪魔してすみません。理由は修一から…?」
「聞いています。」
横で聞いていた修一が、フッと笑う。
「デカイ野郎が3人そろって立ち話ってのもな?歩きながらでいいか。」
修一が示した方向に、俺達は肩を並べて歩き出す。
「まずは喫茶店に入るか?」
「猛はそれでいいですか?」
「あの、自分3つ下ですから。できれば悠紀さんはタメ口使って下さい」
「そう?じゃあありがたく。俺、基本的に敬語苦手。」
俺の言葉に修一が吹き出す。
「あーぁ、もったいない。猫かぶりの悠紀なんて滅多に見れないのに。」
「俺だって必要なら礼儀は通す」
猛がくすくす笑っている。
「なに?」
「美人なのに、はっちゃけた人だなと」
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