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冷水を口に含んでから、「さて、」と修一が身を乗り出す。
「簡単な状況説明をすると、入学1ヶ月で猛は学校を辞めると言い出した。
叔母は条件をクリアすれば、この件に関しては反対しないと言っている。
その条件というのが、この家庭教師の話なんだよ」
話が読めなくて、少し苛々する。
「学校辞めようとしてる奴に、なんでカテキョ?意味がわかんねぇんだけど」
苛立ちを隠さない俺に、修一は苦笑を返した。
「いいから、順番に説明させろ」
本当に、修一とはこう言うところで相性が合わない。
俺はまず答えを聞いてから説明が欲しいのに、修一は最後まで答え言おうとしない。
「条件は3つ。
ひとつ、退学を許可するまで、3時間の授業のうち、2時間は勉強をすること。
残りの1時間は猛が好きに使っていい」
「ふたつ、赤点を1つも取らなくなるまで退学は認めない」
「みっつ、悠紀が猛の退学に積極的に同意すること」
はぁぁ?
ふたつめまでは、いいとして。
なんなんだ、みっつ目の条件は?
本気で苛々してきた
猛はずっと、居心地が悪そうに座っている。
「テメェの家の事情をいつまでも修一に説明させてんじゃねぇぞ、こら。」
猛に噛み付くと、修一にどつかれた。
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