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「なんだよ、正論だろ!?要は、ただの親子喧嘩に俺を利用しようって話だろうが!」
「……その通りです、すみません」
頭を下げた猛に、毒気が抜けた。
むっつりと修一を睨むと、浮きかけた腰を下ろす。
「俺が間に入らなきゃ、お前は最後まで話を聞く前にそうやってキレるだろう」
深いため息。
わかってるよ。
修一がいなければ俺は今、キレて帰っている。
「他の条件をクリアした上で、1年の間に、お前を説得して退学に同意させれば、猛の勝ち。」
「逆に1年の間に1つでも条件をクリアできなかったら、猛の負け。退学は許可されない。」
「いずれにせよ、お前には1年間、給料を払うそうだ」
「他人のケンカに巻き込まれて煩わしいかもしれないが、それ以外の条件に関しては悠紀にとっても悪くない話だと思うが?」
「そんな話なら、是非辞退したい……と俺が言ったら?」
俺は修一を睨む瞳に力を込めた。
「……お前は断らない。」
あぁ……。
俺は力無くため息をついた。
そうだな。
俺達は……。
とうに、原型を留めない友情の残骸に取り縋って。
お互いを騙し合って来たけれど、お前はそれを暴き立てるのか。
今になって。
いや、今だからなのか?
「わかった。……引き受けるよ」
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