4/10
前へ
/36ページ
次へ
「そこまでわかっていて、あの人の言葉を鵜呑みにするなんて。……悠紀さんって意外とピュアですね?」 ん? 「やっぱり、聞いていたんじゃないか。なんで聞いてないふりをしたんだ?」 「……?聞いてないふりなんか、していませんよ?」 「だって、お前……へぇ?って言ったじゃないか」 猛はまじまじと俺を見つめて。 ぶはっ。 吹き出した。 は? 何、その反応。 「あ、怒んないで。すみません。悠紀さんは、そういう風に受け取るのかと思ったら、なんか癒されちゃった。」 くつくつ笑う猛を見下ろして、ため息。 なんか、ムカツキがどっかに行っちまうんだよな。 コイツのテンポって 「意味わからんし」 不機嫌に呟く。 「ヤだな、悠紀さん。自分、褒めているんですよ?真っ直ぐで綺麗だって」 は? ますます意味がわからん。 なんだこの宇宙人は 「あれ、厭味。母さんの約束は破らないって言葉。わざと自分に聞かせたんですって。」 ん? んんん? 「留守で見てないからって、約束破るんじゃねーぞ。って釘刺されたんすよ、自分」 「はぁ?そんなの、直接言やぁいいだろーが。」 「悠紀さん、すげぇイイですね。他人の腹を探ったり、本音と建前を使い分けたり、したことないでしょう?」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加