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「自分、マリンスポーツのマルチインストラクターになりたいんですよ」 さっきまでヘラヘラしていたのに、驚くほど真摯な瞳。 「サーフィン、スキューバ、ヨット。とにかく、一年中海と関わっていたい。」 「同じ水でも、プールみたいな塩素臭い、人工の水じゃなくて。柔らかくて、暖かくて、それ以上に厳しい海水。」 「生命は海から来て、海に還る。あの、壮大で美しい場所に自分も還りたい」 淡々とした口調に、マグマのような激情を滲ませて。 今、猛の目には恋い焦がれる海が見えるのか。 一点を凝視して、瞳を潤ませている。 本当に好きなんだと それは疑い無く信じられた。 「今、学校に行って勉強することよりも自分はしなきゃいけないことがある。取らなきゃいけない資格が山ほどある。学校に行っている時間が惜しい。」 「高卒の資格がないと取れない資格があるなら、大検を取る。そうしなきゃ、どんどん時間だけが無為に過ぎていってしまう」 思い詰めたように眉を寄せて。 瞳を閉じて。 口許を覆う。 じれったい。 熱を帯びたため息。 俺は、愛の言葉を囁くような。 官能的な言葉に。 口調に。 仕草に。 思わず赤面してゆく自分に、動揺する。
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